肌トラブル
肌や髪トラブルのお悩み改善に
2023.05.26
化学ストレスフリーで健康なお肌と髪を取り戻す
はじめに
日本人の肌が美しいという評価は、古くから国際的にも認められてきました。しかし最近では、肌とそれに繋がる頭皮や髪にトラブルを抱える人々が増え、日本の成人女性の実に8割近くが悩んでいる冷えの問題も関わって、血流低下と肌質・髪質の低下の関係がクローズアップされています。清潔好きな日本人の多くは毎日お風呂で体や髪を洗いますが、私たちは、この冷えと肌質問題の根本原因にあるのはお風呂での洗い過ぎと、石鹸、シャンプー、塩素などの化学物質を毎日浴びる生活習慣だと考えています。洗い過ぎで壊れた皮膚のバリアから、化学物質が経皮的に吸収されることにより、それがストレスとなって交感神経を刺激し、血流を低下させて冷えを生じ、体の様々なところに不調を招いているのです。化学ストレスの害にもっとも気づきやすい体の部位が、お肌、頭皮、そして髪なのです。
女性の体は月経周期によっても変化しますが、以下のような不調を繰り返したり、年々症状が悪化してはいませんか?
あなたは日頃こんな肌トラブルや髪トラブルに悩んではいませんか?
・毛穴の目立ち・開き
・肌の乾燥
・ニキビ・吹き出物
・肌のかゆみ
・化粧のノリ・化粧崩れ
・顔色が悪い
・顔が脂っぽい
・肌のごわつき・ざらつき
・肌のハリ・ツヤのなさ
・肌荒れ・かぶれ
・瞼や目の下のむくみ
・頭皮のかゆみ・フケ
女性の場合、排卵後から次の月経までは黄体ホルモンであるプロゲステロンのレベルが上昇することで皮脂の分泌が増加し、毛穴が詰まりやすくなって、ニキビや吹き出物が増えることがあります。また月経前症候群の症状の一つとして、ニキビの他にも肌荒れ、かゆみやむくみに悩む方も多くみられます。一方、月経中には卵胞ホルモンのエストロゲンのレベルが低下し、肌が乾燥してかゆみや湿疹が現れやすくなります。
女性のお肌や髪は、月経周期以外にも様々なストレスによって大きく影響を受けていますが、これらの不調を繰り返してなかなか治らなかったり、閉経後のお肌や頭皮の不調が年々悪化する場合、日常的に使用する石鹸、シャンプー、塩素などの化学物質が引き起こす化学ストレスを避けることが必要かもしれません。
なかなか治らないお肌や頭皮、髪のトラブルの根本原因は、間違った入浴習慣にありました。
石鹸やシャンプー、ボディーソープなどの使い過ぎ、洗い過ぎ、そして水道水の残留塩素は、私たちの体を異物の侵入から守る角層の皮脂バリアを壊して、肌荒れや乾燥、頭皮のかゆみやフケなど、様々なトラブルを起こします。入浴時に使う洗浄剤には、合成界面活性剤や抗菌剤などの有害な合成化学物質が含まれていることが多く、これら化学物質の使い過ぎは皮脂バリアの破壊を招きます。また、残留塩素濃度の高いシャワーで毎日洗髪すると、髪のキューティクルのタンパク質が変性し、キューティクルが剥がれ、髪は傷んで艶がなくなり、パサついてきます。
傷ついてバリア機能が低下した皮膚からは、有害な化学物質が吸収されやすくなります。皮膚から吸収された化学物質は、肝臓での初回解毒を受けずに経皮毒として体内に蓄積し、慢性のストレスとなって交感神経を刺激し、血流を悪くしてお肌や地肌の状態をますます悪化させる原因にもなります。
肌荒れを起こすとお風呂のお湯も沁みて入浴が苦痛となり、また市販の入浴剤に含まれる合成香料や着色料も刺激となるため、入浴自体を避けるようになる患者さんも多く、皮膚の修復の機会はますます減ってしまいます。
このようなトラブルを避けるために、またトラブルを起こしたお肌や髪のために、有害な化学物質を含まず残留塩素を除去する作用もある中性の重炭酸温浴は有用です。
重炭酸温浴には3つの特徴があります。
重炭酸温浴は、肌質や髪質を保つために大切な3つの特徴を備えています。
体に害のある合成化学物質を含みません。
重炭酸温浴は、お肌や頭皮の皮脂バリアを壊し、体内に吸収されて化学ストレスの元となる合成化学物質を使用しません。重炭酸温浴の主な成分は重曹、クエン酸、ビタミンCで、合成香料や着色料を含まず、ビタミンCの作用で水道水の残留塩素を瞬時に分解し、過敏になった皮膚にも刺激の少ない中性の自然炭酸泉を作ります。
欧米ではシャンプーやボディーシャンプーを使わないノープーを実践する風潮がみられますが、最近では日本でも、シャンプーのし過ぎ、洗浄剤での洗い過ぎが頭皮や髪を傷め、経皮毒に晒されるリスクを高めるという医師による注意喚起がなされるようになってきました。
経皮毒とは、皮膚を経由して体内に吸収される有害物質のことです。口から入るものは消化管から肝臓を経由する時にある程度解毒されて、出ていきますが、経皮毒は肝臓による初回解毒を免れるリスクと、いったん吸収されるとなかなか排出されずに体に蓄積してしまうというリスクがあります。
重炭酸温浴は、合成香料や着色料を含まず、こういった経皮毒を避けることができます。
合成界面活性剤なしで汚れやニオイを除去します。
重炭酸温浴のお湯は一般的な洗浄剤に含まれる合成界面活性剤を含まず、石鹸やシャンプーの洗浄力を借りずに重炭酸イオンの働きで洗浄効果を発揮します。マイナスに荷電した低分子の重炭酸イオンが、プラスに荷電したミネラルを含んだ皮脂汚れを包み込み、お肌や髪から浮かすようにして剥がしていきます。
また、重炭酸温浴を構成する重曹とクエン酸の反応で生じるクエン酸ナトリウムには酸化防止作用があり、お肌のpHを調整したり、毛穴を引き締める効果もあるといわれています。30分以上の長湯の後でも潤いを保ち乾燥を防いでくれるのは、末梢の保温効果のみならず、汚れを取り除いた後の地肌をクエン酸ナトリウムが整えてくれることも一因です。
全身の血流をよくします。
重炭酸温浴では、他の温水の種類に比較して血流亢進効果が高いことは以前より知られていました。その理由が、重炭酸温浴に含まれる重炭酸イオンにあることがわかったのです。重炭酸イオンは皮膚を通って体内に吸収されると、血管内皮細胞に一酸化窒素合成酵素(eNOS)の分泌を促し、血管拡張物質である一酸化窒素(NO)の合成を高めて、血流を亢進し、効率的に深部体温を上げることが研究報告されています。
お肌や地肌の血流が回復すると、新陳代謝がよくなり、傷ついたお肌の修復が促進されますが、それにはお顔だけや頭皮だけの血流を上げるのでなく、全身の血流を上げた上でお顔や髪に血液を循環させることが何より重要です。
さらに、重炭酸温浴後は寝つきがよいことが報告されています。それは、就寝前の重炭酸温浴によっていったん深部体温を上げ、その後深部体温が下がる時の下げ幅を十分に確保できることで就寝モードに切り替わるからだといわれています。深い睡眠は新陳代謝を高め、細胞の修復を促して、お肌にもプラスの影響をもたらします。
皮膚は人体最大の器官、お肌を大切にしましょう。
皮膚は体重の16%を占め、その表面積は成人で約1.7平方メートル、全血液の実に1/3が循環している人体最大の器官です。
皮膚は体内からの水分が蒸散するのを防ぎ、体外からの異物の侵入を防ぐバリアの役割を果たしています。皮脂腺から分泌される皮脂や汗腺から分泌される汗に加え、天然保湿因子や常在菌による代謝物などが混ざりあって皮脂膜を作り、皮膚表面を弱酸性に保つことで病原菌の感染等から体を守っています。さらに皮膚組織には、抗菌ペプチドと呼ばれる抗菌活性を持つ物質や、ランゲルハンス細胞と呼ばれる免疫細胞の仲間が存在して、外界の様々な刺激からのバリアとなっています。
また、体温調節も皮膚の役割の一つです。私たち人間は、深部体温を37℃に保つ恒温動物です。寒いときには体内の熱を逃がさないように皮膚の血管を収縮させ、骨格筋を震わせて産熱し、暑いときは血流量を増やして放熱し、発汗による蒸散熱で体を冷やします。
そして、皮膚は触覚以外にも様々な感覚機能を持ち合わせているといわれます。
私たちは、口から入る添加物のような化学物質には注意を払いますが、皮膚に接触する化学物質には口ほど注意しません。皮膚の役割を再認識し、重要な感覚器官であり最大のバリアである皮膚を、化学ストレスから守りましょう。
まとめ
お肌や髪のお悩みがなかなか解決できない根本原因に、毎日のお風呂で浴びている化学物質のストレスによる血流低下があります。入浴習慣を見直し、化学ストレスフリーの重炭酸温浴を取り入れることで、私たちのお肌や髪に健康を取り戻す一歩を踏み出しましょう。自然の恵みである重炭酸がもたらす効果を体感し、日本人本来の美しいお肌と髪を手に入れましょう。
参考資料
第5回日本先制臨床医学会学術記念大会(2022)
Scientific Reports 11, 21789 (2021)